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やせないために、積極的に摂りたい栄養素とは

2020.04.17

がん治療の継続や、予後の改善のためには、体重の減少を阻止し、筋肉を落とさないことが重要であると考えられています。また、がん治療の完遂を達成するためにも、より早期からの栄養管理が重要です。

そこで今回は、がん患者さんの体重減少をできるだけ最低限に抑えられるよう、積極的に摂りたい栄養素について解説していきます。


■積極的に摂りたい栄養素
がん患者さんが積極的に摂るべき栄養素は、主に「たんぱく質」です。合わせて「BCAA」「EPA」を摂りましょう。

1.たんぱく質
食欲不振などの症状がある場合、糖質の多いパンや麺類、果物などを中心に選びがちですが、そのようなときにも、たんぱく質が豊富に含まれている肉や魚、卵、豆腐、納豆などの食材を、1日に3回摂るように意識してください。また、牛乳やヨーグルト、チーズなどのたんぱく質が多く含まれる食材も活用しましょう。

【料理例】
①主食に組み合わせる
・肉
そぼろ丼(鶏ひき肉)、親子丼(鶏肉)、カレーライス(鶏肉、豚肉牛肉)、ドリア(鶏肉)など

・魚

ねぎとろごはん(まぐろのたたき)、しらす粥(しらす)、さけ茶漬け(鮭)、ちらし寿司(好みの魚介類)、サンドイッチ(ツナえび)など

・卵

オムライスたまご粥サンドイッチうどんなど

・豆腐・大豆製品
いなり寿司(油揚げ)、豆乳リゾット豆乳)、豆腐あんかけそうめん炊き込みご飯(豆)、など


②料理に加える
牛乳・ヨーグルト
フレンチトースト・パンケーキ、シリアル・オートミール、カレー・シチュー、ドリア・グラタン、サラダ・ドレッシング、パスタ、魚や肉の下味、卵焼き、スープ・ドリンクなど

チーズ
肉・魚・卵・豆腐・パン・ハンバーグ・ピザなどにのせて焼く。
スープ・ソース・グラタン・パスタ・オムレツ・卵焼き・カレー・シチュー・チーズケーキ・ホットケーキなどに加える。


2.
BCAA
BCAA(分岐鎖アミノ酸)は、筋肉中のたんぱく質が分解されるのを抑制すると同時に、筋肉の合成を促す効果があると報告されています。BCAAは、まぐろやかつお、鶏肉、豚肉、牛肉などに特に多く含まれており、ビタミンDと合わせて摂ることも重要です。ビタミンDは、きのこ類や、さけ・まぐろ・さばなどの脂肪の多い魚、牛のレバーやチーズ、卵黄などに多く含まれています。いろいろと組み合わせて食べることで相乗効果が期待できますので、普段の食事に摂り入れてみましょう。また、ビタミンDは、日光に当たることによって皮膚で作られるので、体調の良い時には外に出て適度な運動をするのも、気分転換になりおすすめです。

【料理例】
刺身(まぐろかつお)、さんまの塩焼き(さんま)、さんま・いわしのつみれ汁(さんま・いわし、卵)、さばの味噌煮(さば)、肉ときのこ炒め(鶏肉・牛肉・豚肉、きのこ)、レバーの甘辛煮、ピカタ(鶏肉豚肉、卵)、鮭のチーズ焼き(鮭、チーズ)、さば缶と大根の煮物など


3.
抗炎症作用のある「EPA」
EPAは、n-3系の多価不飽和脂肪酸です。体重減少の原因である炎症を抑えるだけでなく、筋肉のたんぱく質の分解も抑え、代謝の改善をもたらす効果があると報告されています。意識して普段の食事に摂り入れましょう。

【EPAを多く含む魚】
あじいわしさばかつおさんままぐろなどの青魚
・一尾まるごとの魚の場合は、目が澄んでいるか、腹に弾力と光沢があるか、内臓が飛び出していないか、尾部までよく太っているかなどを見て、鮮度の良いものを見分けましょう。
・切り身の場合は、皮がしっかりしているか、弾力があるか、身の色や血合いの色が鮮やかであるか、トレーに水がたまったりしていないかなどをチェックしましょう。
・手軽に食べられる缶詰を利用するのもおすすめです。体内での酸化を防ぐために、β-カロテンの多い緑黄色野菜やビタミンEの多いごまなどの種実類と一緒に摂ると良いでしょう。


■食べることを楽しめる工夫をしましょう
がん治療を受けられている方、これから治療を始められる方、それを支えるご家族やその周りの方に、ぜひ知っていてほしいことがあります。

体力を維持して治療を進めていくためにも、炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミンやミネラルなどをバランス良く食べることは大切なことです。しかし、「食べなければならない」と無理をし過ぎると食事が辛くなってしまい、ますます食欲が落ちてしまうことがあります。

また、がんをめぐるさまざまな情報があふれている中で、間違った知識や食事の摂り方が原因で、痩せて体力を落としてしまい、普通であれば栄養障害が起こらないような患者さんでも低栄養になっているケースも見受けられます。

医師から特別な指示がある場合以外は、無理をせず体調に合わせて、食べられるものから食べることが大切です。楽しく食べられる環境づくりや、家族や他の誰かと一緒に「美味しい」と思えるものを食べることは、楽しみや生きる希望につながります。困った時には一人で抱え込まずに、ぜひ病院の医師や管理栄養士、看護師、薬剤師などスタッフに相談してほしいと思います。





《参考文献》
・がん病態栄養専門管理栄養士のためのがん栄養療法ガイドブック(2015年 メディカルレビュー社)
・がん患者の輸液・栄養療法(2014年 南山堂)
・国立がん研究センター がん情報サービス(食事と栄養のヒント)
・千葉県がん情報 ちばがんなび
・がん悪液質ハンドブック がん悪液質:「機序と治療の進歩」を臨床で役立てるために(20193月)
・「治る力」を引き出す 実践!臨床栄養(2014年 医学書院)
・食べ物栄養事典(2009年 主婦の友社)
・厚生労働省HP(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト)

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