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  • プロのひと工夫

誤嚥を防ぐための工夫とは

2020.06.12

「嚥下」は体や脳のとても複雑な働きによって行われています。口やのど、舌などにできたがんの治療により、飲み込みの機能が影響を受けて「嚥下障害」になってしまうと、食べたり飲んだりしたものが食道ではなく気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなります。誤嚥を防ぐ工夫として、飲み込みに関わる器官の筋力訓練や嚥下体操などの嚥下リハビリテーションも役立ちますが、今回は、今日からご家庭ですぐに取り組める「誤嚥を防ぐためのポイントや工夫」をご紹介していきます。毎日の食事の際にお役立てください。

「嚥下障害」については、コラム:【プレミアム限定】知ってほしい!嚥下障害のことでも詳しく解説しておりますので、参考にしてください。


■今日からできる4つのポイント
飲み込みづらさを感じ始めた場合、まずは食事の環境を見直してみましょう。今日からできる「誤嚥を防ぐための4つのポイント」をご紹介します。

①環境を整える
誤嚥や窒息を防ぐためには、リラックスしながら食事をとることが大切です。テレビなど音の出るものを消す、食事に必要のないものは周りにおかない、など食事に集中できる環境をつくることで、誤嚥のリスクを軽減する効果が期待できます。

②水分補給をしっかりと
唾液の分泌が少ないと口の中は乾いてしまいます。食前に十分水分をとり、口を湿らせてから食事をしましょう。また、口や喉に食べ物が残っていると誤嚥の原因になりますので、食べ物とお茶を交互に含ませることを意識しましょう。

③軽くあごをひく
あごが上を向いた姿勢は気管が開き、誤嚥の可能性が高くなりますので、うつむき気味の状態で食べるとよいでしょう。また、食後すぐ横になると食べたものが逆流して誤嚥を起こす場合があります。食後、最低30分は座って過ごすようにしましょう。

④一度に食べる量を把握する
嚥下機能が衰えてくると、一度にたくさんの量を口にすると誤嚥しやすくなります。一回で飲み込める量だけを口に入れるのが誤嚥を防ぐポイントです。食べものを飲み込んだあとに、口の中に食べものが残っていないか確認してみましょう。


■機能に応じた調理の工夫
食べやすさや飲み込みやすさは、人それぞれ異なります。誤嚥を防ぐためには、それぞれの噛む力や飲み込む力に応じて、調理の工夫をすることが大切です。

①軟らかく煮ましょう
箸で切れる軟らかさを目安に調理にしてみましょう。
圧力鍋を使うと、魚は骨まで食べられるようになり、肉は繊維まで軟らかくなります。また、調理時間の短縮も可能です。

下記のコラムでも肉をやわらかくする基本をご紹介しています。
《肉料理》やわらかくする基本 Ver.1
《肉料理》やわらかくする基本 Ver.2
《電子ポット調理法》軟らかいを簡単に!ver.2~鶏肉~
 
②食材をきざみましょう
噛むのがつらい方は、食材は細かくきざむことで食べやすくなるでしょう。飲み込むのがつらい方は、きざんだものにあんをかけるなど、まとまりやすくすることで食べやすくなります。麺類は、そのまますすると誤嚥につながりますので、短く切って食べましょう。

【おすすめレシピ】
・オクラとろろ
 
https://kama-aid.com/recipe/4774
・きつねうどん
 https://kama-aid.com/recipe/5694
・海老団子のあんかけそば
 https://kama-aid.com/recipe/5593
・野菜たっぷりみぞれあんかけ豆腐
 
https://kama-aid.com/recipe/5556

③とろみをつけましょう
サラサラとした水分や汁物は誤嚥しやすいですが、とろみをつけることで具材と汁気がからんで飲み込みやすくなります。それでも飲み込みづらい場合は、ゼリー状にするなど、医師や言語聴覚士、管理栄養士と相談しながら、食事の形態を決めてください。

下記のコラムでも「とろみ」についてくわしくご紹介していますので、ご覧ください。
《とろみ》飲み込みが気になりはじめたら
《とろみ》ひと工夫で「とろみ」が出てくる食材

なお、次のものは誤嚥につながりやすいので避けるようにしましょう。
・お餅などの粘り気があってのどや口に残りやすいもの
・芋類などの水分が少なくパサパサするもの
・こんにゃくなど噛み切れないものなど


■食具を利用する
誤嚥を防ぐために、食事の環境を整えたり、調理の工夫をしたりすることは欠かせませんが、食べる事に違和感がある場合には食具を見直すのも良いでしょう。自分の力で食べる事ができると、食欲アップへとつながります。

例えば、握力の低下を感じたときには、普段使用しているカトラリーを見直すタイミングの一つです。スプーンやフォークは柄の長さや口に入る部分の大きさ、形、スプーンの材質によっても食べやすさは変わります。大きすぎるスプーンや深いスプーンは口に含みにくく、食べこぼしや誤嚥につながる場合もあるため、口のまわりの筋肉や舌の動きが弱っている方には小さめで浅いスプーンが適しています。
食べ物を口の奥まで入れにくいときには、口の奥まで運びやすい柄の長いスプーンが効果的です。また、お皿やコップもすくいやすい深皿や、滑り止めのついた食器を利用すると食べやすいでしょう。


■まとめ
今回は、誤嚥を防ぐためにご家庭で取り組める、食事のポイントや調理の工夫、食具についてご紹介しました。これらの工夫と合わせて、毎食後に歯磨きや舌の掃除をしっかりと行い口の中を清潔にすることは、誤嚥による肺炎を防ぐために役立ちます。また、食前に顔や口まわり、首肩の体操などの嚥下リハビリテーションを行うことで舌・頬・唇をうまく動かせるようになり、嚥下機能の向上や誤嚥の予防にも効果が期待できますので、嚥下機能の状態に応じて専門家の指導のもと、毎日の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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