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  • プロのひと工夫

噛む力や飲み込む力に応じた食事の形態

2020.05.08

治療や加齢などの影響で、食事中、飲み込みに時間がかかったり、むせやすくなったり、食事が思うように食べられないと感じたことはありませんか。
食事中の違和感は、噛む力や飲み込む力が低下しているサインとなっている場合があります。食事に疲労を感じたり、体重の減少があるときには、噛む力や飲み込む力に応じて食事の形態を一度見直してみましょう。


■食事の形態
噛む力や飲み込む力のレベルに合わせた、食事形態の分類について具体的に見ていきましょう。なお、この分類は病院や施設によって名称等が異なる場合があります。

①ゼリー食 
<対象者>
口の中で食べ物をまとめる力が弱く、噛む力や飲み込む力が著しく低下している方に適しています。
<特 徴>
ゼリー食は、ミキサーなどにかけてペースト状にしたものを、さらに寒天やゼラチンなどを使って固めたものを指します。食塊(丸飲みできる状態)が形成されており、舌で潰す力が弱くても飲み込みやすい形状です。口内でくっつきにくく、まとまりやすいため、誤嚥の可能性は低いといわれています。
<調理ポイント>
型を利用することで、見た目も元の食材の形に似せることができます。使用するゲル化剤やとろみ剤にもよりますが、一般的なゼラチンの特性として、加熱しすぎると固まりにくくなりますので、溶かしたらすぐ火からおろすようにしましょう。

レシピ例:ほうじ茶ゼリー

②ペースト食
<対象者>
噛む力は低下しているものの、飲み込む力がある方に適しています。
<特徴>
ペースト食は後述するミキサー食と似ているものの、より水分量が少なく滑らかなペースト状の物を指しますが、施設によっては同等のものとして扱っている場合もあります。
水分が少ないので誤嚥の可能性は低く、口当たりもなめらかです。しかし、見た目が損なわれるため食欲の低下を招く恐れがあり、調理において工夫が必要です。
<調理ポイント>
ミキサーを使用するときに水分が必要となります。水分が少ない食材の場合は、だし汁や脂肪分のある食材などを加え、なめらかに仕上げましょう。

レシピ例:かぼちゃとはちみつのパン粥

③ミキサー食
<対象者>
噛む力は低下しているものの、飲み込む力はある方に適しています。噛まなくても食べることができますが、水分が多く食塊を作ることができないので、誤嚥に注意が必要です。
<特徴>
普通食の調理を終えたものをミキサーにかけ、ポタージュ状の粘度にします。水分が多いため満腹感を感じやすく、残してしまった場合には栄養素を十分に補給しきれないことがあるため注意しましょう。
<調理のポイント>
料理によっては色合いが損なわれるため、見た目に工夫が必要です。一品ずつミキサーにかけ、色合いが混ざらないようにすることで彩りを保つことができます。

レシピ例:大根と豆腐のポタージュ

④ソフト食
<対象者>
噛む力、飲み込む力が低下している方に適しています。
<特徴>
食材ごとにミキサーにかけ、ゼラチンなどのゲル化剤やとろみ剤で形を整えて元の形に近い形状を再現し、固めたものです。見た目の形状を損なわず、形を元の食材に近い形状に成形できるので、通常の食事に近い状態で食事を摂ることができます。
噛む回数が減ると唾液が少なくなり、口の中で食べ物をまとめられなくなるため上手く飲み込めないことがありますが、ソフト食は一度ペースト状にしたもので形を作っているため、噛む力が低下している方でも舌を使って食べることができます。また、飲み込みやすくなっているので誤嚥の危険性が低く、安全に食べることができるでしょう。
<調理のポイント>
成形時、油や卵などをつなぎとして使用すると成形が容易になります。また、野菜ジュースなどを使用することで、ミキサーをかける手間を省くこともできます。

レシピ例:ブロッコリーのムース

⑤軟菜食
<対象者>
歯を損失した方や噛む力が低下した方のうち、舌でつぶしたり歯茎で噛んで食べたりすることができる方に適しています。
<特徴>
普段の食事でむせや食べづらさを感じたとき、最初の段階として軟菜食があります。見た目も普通食と変わらず香りも楽しむことができるので、食欲を保ちやすいようです。また、しっかり噛まずに食べたものがそのまま喉に入ってしまったり、ドライマウスや唾液の分泌量の低下時に食べ物をしっかりと口の中で溶かすことができずむせてしまったりするときにも、軟菜食は食べやすいでしょう。
<調理のポイント>
下準備の際に食べやすいように、野菜の繊維は断ち切り、肉であれば筋切りや薄切りにするようにしましょう。

レシピ例:ふわふわ鶏団子のクリーム煮

■まとめ
食事の形態レベルを変える場合、身体状況に合わせて、飲み込みがスムーズに行われているか、食事にかかる時間は適切か、残さず食べられているか、などを基準とし、慎重に行う必要があります。ご自身だけでなくご家族や周りの方も変化を見逃さないように気をつけるとともに、今のご自身にはどの食事が適しているか、かかりつけ医や言語聴覚士、管理栄養士に相談しましょう。

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