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≪知りたい≫ゼラチン・寒天・アガー・片栗粉を使い分けよう!

2020.07.03

「食べ物が飲み込みにくい」「むせてしまう」など、嚥下力の低下が気になりはじめた場合、食事にとろみをつけたり、ゼリー状にしたりするなどの工夫をされている方も多いのではないでしょうか。
今回は、とろみ付けやゼリー作りに手軽に使うことができる、ゼラチン・寒天・アガー・片栗粉について、ご紹介します。身近な存在ではあるもののこれまで使いこなせていなかったという方も、ぜひ、毎日の料理にお役立てください。


 ■ゼラチン
①特徴
ゼラチンの原料は豚などのコラーゲンです。60℃くらいのお湯で溶かしてから、冷蔵庫で冷やし固めましょう。
ゼラチンは、プルプルとした弾力と粘着性があり、口内の温度(25℃程度)で溶けるため口溶けの良い食感で、誤嚥しにくい特徴があります。飲み込むのがつらい方や誤嚥の心配がある方におすすめです。 

②注意点
生のキウイやパイナップルなどには、タンパク質を分解する酵素が含まれており、そのまま混ぜるとゼラチンが固まらなくなってしまいます。一緒に使用する場合は、加熱したもの、または缶詰を使用するようにしましょう。ゼラチンを沸騰させてしまうと、成分のコラーゲンが壊れて凝固力が弱くなるため注意してください。

③時間の経過に伴う形状の変化
ゼラチンは、固まったあと冷蔵では変化はありません。常温では、溶けて固さが緩くなるため、食べる直前に冷蔵庫から出しましょう。

④使い分けポイント
泡を含んで固めることができ口内で溶けることから、ふんわりとした食感のムースやババロア、口どけのよいゼリーなどにおすすめです。

【おすすめレシピ:野菜ジュースのコンソメゼリー】
https://kama-aid.com/recipe/4549
 

■寒天
①特徴
寒天は弾力や粘着性が低く、噛むとすぐに崩れる食感が特徴的です。寒天の原料は海藻(テングサやオゴノリなど)で、90℃以上で煮溶かして使用します。食物繊維を多く含んでおり、便秘でお悩みの方にもおすすめです。

②注意点
寒天を牛乳や果汁に直接入れてしまうと溶けにくいため、沸騰させた水で煮溶かしてから果汁や牛乳を加えるようにしましょう。また、寒天は酸に弱いので、果物など酸性のものを入れるときは寒天を煮溶かした後、粗熱をとってから加えましょう。

③時間の経過に伴う形状の変化
時間が経つと、固まっている部分から水分が出てきます。水分が多いとむせや誤嚥してしまう可能性が高くなるため、作った後はなるべく早めに食べましょう。

④使い分けポイント
歯切れがよくツルンとしたのど越しで刺激が少ないため、寒天を使用した杏仁豆腐やところてん、寒天よせなどは、口内炎でお悩みの方にも食べやすくおすすめです。ただし、噛むことで小さな塊となるため、飲み込む際にむせや誤嚥の心配がある場合は控えるか、ゼラチンに置き換えるなど工夫しましょう。

【おすすめレシピ:にんじんゼリー】
https://kama-aid.com/recipe/5042
 

■アガー
①特徴
アガーは透明度が高く、ゼラチンと寒天の間くらいのプルンとした食感です。原料は海藻やマメ科の種子の抽出物で、一般的にゼリーなどのお菓子に使用します。無味無臭で料理の見た目や味を損なわずに使うことができます。

②注意点
アガーはダマになりやすいため、液体に少しずつアガーを混ぜながら加えてしっかり溶かしてから加熱しましょう。沸騰させてしまうと凝固力が弱くなるので注意してください。常温で固まるので火からおろした後は手早く作業する必要があります。製品によって使用方法に違いがあるのでパッケージなどでよく確認しましょう。

③時間の経過に伴う形状の変化
型に入れてそのまま食べる場合は離水は少ないですが、固めた後、型から出して形を崩すと離水しやすくなってしまいます。食べている間に水分が出てしまうため、むせや誤嚥に注意が必要です。

④使い分けポイント
砂糖と一緒に8090℃以上で煮溶かして使用します。アガーを使用した水ゼリーやプリンなどはつるんとしていて、飲み込みや嚥下が不安な方にも食べやすいでしょう。また、アガーは、ゼラチンでは固まらない生のフルーツにも使用できます。

【おすすめレシピ:紅茶とミルクのゼリードリンク】
https://kama-aid.com/recipe/3774

■片栗粉
①特徴
片栗粉は料理のとろみ付けなどでもよく使用されています。原料はじゃが芋のデンプンで、水分とともに65℃くらいに加熱すると粘性が増えてとろみがつきます。

②片栗粉の注意点
粉のまま料理へ入れてしまうとダマになるので、水で溶いて少しずつ入れましょう。片栗粉を入れる際に一度火を止めるとダマになりにくいです。入れ過ぎると粉っぽくなるので気を付けてください。片栗粉を入れて沸騰させてから1分ほど加熱することでしっかりと糊状になり、とろみが長持ちします。加熱し続けるとデンプンが壊れてとろみが無くなってしまいますので注意しましょう。

また、片栗粉のとろみは、唾液の成分によって口の中で分解され、緩くなってしまいます。スプーンなどに付着した唾液によっても分解が進むため、片栗粉でとろみをつけた料理は食べる際に食べる分だけを小皿に取り分けるなど工夫して食べましょう。

③時間の経過に伴う形状の変化
調理後、時間が経つと野菜など食材の水分が出てとろみが緩くなってしまう可能性があるため、出来上がった後は早めに食べるようにしましょう。

④使い分けポイント
片栗粉でとろみをつけることで口の中でまとまりやすく、誤嚥やむせを起こしにくくなるでしょう。普段の料理にあんかけをプラスしたり、煮汁や汁物にとろみをつけたりする場合には片栗粉がおすすめです。

【おすすめレシピ:白身魚のオイスターソース煮】
https://kama-aid.com/recipe/5612
 


■市販のとろみ剤を使用した方が安全なケース
市販のとろみ剤は、入れて混ぜるだけで加熱しなくても使用できるものがほとんどで、白濁しにくいものや味の変化が少ないよう工夫されているものなど様々あり、手軽にとろみをつけることができます。また、唾液や室温でとろみが消えることなく使用できるメリットもあり、お茶などの飲み物にとろみをつける際に役立ちます。

誤嚥を防ぐためには、口の中で食塊形成(噛むことや唾液で食べ物を飲み込みやすい形にすること)がしやすいことや、適度なとろみがあることが必要です。食事時間が長くなってしまう方や誤嚥の不安がある方、とろみを手軽につけたい方は、市販のとろみ剤をうまく取り入れるのも良いでしょう。同じとろみ剤でも、使用する液体の温度や種類でとろみのつき方が違ってきますので、とろみ剤を使用する際は状態に応じて量を調節してください。

【おすすめレシピ:とろみ酒】
https://kama-aid.com/recipe/2312


■まとめ
今回は、ゼラチン、寒天、アガー、片栗粉の特徴についてご紹介しました。誤嚥の不安やどのような食事が良いのか悩む場合は、かかりつけ医や管理栄養士に相談しましょう。それぞれの特徴を生かして、身体の状態に合わせた食事作りにお役立てください。








【参考文献】
・大越ひろ『おいしさのレオロジー』弘学出版1997
・大越ひろ『嚥下障害者のための食事—高齢者を対象とした食事の安全性とテクスチャーの面から—』日本食生活学会誌17(4) 2007
・奥野麻美子他『嚥下障害食の考え方と調理の工夫』医療61(2) 2007

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