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《食品表示②》教えて!「保健機能食品」

2020.05.01

食品表示に関するシリーズ後編は、保健機能食品やその他の食品、殺菌表示についてご紹介します。

▶前編 《食品表示①》表示内容を理解して安心安全な食品を選ぼう!はこちら

■保健機能食品のチェックポイント
保健機能食品とは「おなかの調子を整える」「脂肪の吸収をおだやかにする」などの機能性の表示ができる食品のことで、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品の3つにわけられます。
それぞれの食品の特徴と、食品表示について見ていきましょう。

1.特定保健用食品(トクホ)
特定保健用食品(トクホ)とは、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、健康表示(健康への効果を示す表現)をパッケージに記載できる食品です。
消費者庁が食品ごとに審査を行い、許可をしたものには許可マークが表示されます。

①主な表示内容と保健機能成分
「おなかの調子を整える」・・・オリゴ糖、乳酸菌、難消化性デキストリンなど
「コレステロールが高めの方に」・・・大豆たんぱく質、キトサン、茶カテキンなど
「血圧が高めの方に」・・・ペプチド、ギャバ(γ-アミノ酪酸)、クロロゲン酸など

②目的と利用対象者
・特定の保健の用途(「おなかの調子を整える」など)のために利用し、健康の維持増進に役立てるのが目的です。
・健康が気になる人や健康に不安がある人を利用対象者とします。


2.
栄養機能食品
栄養機能食品とは、不足しやすい栄養成分を補うために利用する食品です。
ビタミン類13種類、ミネラル類6種類と、n-3脂肪酸が表示の対象となります。それぞれの栄養素はすでに科学的根拠が認められており、一定の基準量の栄養成分を含む食品であれば、特に届け出などをしなくても国が定めた表現によって機能性を表示できます。

①表示内容
栄養機能食品の表示は、「栄養機能食品(ビタミンC)」のように、栄養機能食品であることと、該当する栄養成分の名称が( )内に書かれています。表示した栄養成分について、「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。」のような機能性が表示されます。

②目的と利用対象者
・普段の食事で特定の栄養素を十分に摂れない場合に、補給・補完するのが目的です。
・ビタミンやミネラルなどの栄養素の補給・補完が必要な人を利用対象者とします。


3.
機能性表示食品
機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことです。販売前に、機能性の根拠に関する情報など必要な事項を消費者庁に届け出ることが必要ですが、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の許可は不要です。

①表示内容
機能性表示食品の表示は商品パッケージに「機能性表示食品」と明示した上で、「内臓脂肪を減らす」「腸内フローラを良好にし便通を改善する」などの、機能性が表示されています。機能性表示食品は、生鮮品を含むすべての食品が対象となり、特定保健用食品より手続きが簡便なため、対象となる食品が多くなっています。

②目的と利用対象者
・広く健康の維持増進に役立てるのが目的です。
・疾病に罹患していない人(未成年者、妊産婦・授乳婦を除く)を利用対象者とします。

◆保健機能食品を利用する場合の注意点◆
保健機能食品のパッケージには「多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。」「1日の摂取目安量を守ってください。」「乳幼児・小児は本品の摂取を避けてください。」のような注意喚起が書かれています。購入時に必ずチェックしてください。

保健機能食品は、たくさん摂ればより効果が期待できるというものではなく、過剰な摂取は健康に害を及ぼす可能性も考えられます。1日あたりの摂取量や摂取方法など、注意事項をよく読んで正しく利用しましょう。
含まれる成分によっては薬の効果に影響を及ぼす場合がありますので、事前にかかりつけの医師や薬剤師などに相談してください。


■その他の食品(特別用途食品・介護食品)
一般食品と保健機能食品に当てはまらない「特別用途食品」と「介護食品」について、それぞれの食品の特徴と、食品表示について見ていきましょう。

1.特別用途食品(病者用食品・えん下困難者用食品など)
特別用途食品とは、特別の用途表示ができる食品のことを指し、病者用食品、妊産婦・授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳、えん下困難者用食品があります。
許可された製品が非常に少なく、許可マークを目にする機会は多くないですが、特別用途食品の病者用食品の一つとして、熱中症予防のための経口補水液などがあります。

①目的と利用対象者
・乳児の発育や、それぞれの利用対象者の健康保持、回復などに必要な特別な使いみちを目的とした食品です。例えば、経口補水液の場合「脱水状態の人が摂取する」という特別な使いみちを目的にしています。この食品を摂ったからといって、病気が治るというものではありません。
・利用対象者は、それぞれの用途に応じて、病気治療中の人、妊産婦、授乳婦、乳幼児、高齢者などとなります。
・特別用途食品のうち病者用食品には、低タンパク食、アレルゲン除去食、無乳糖食品、総合栄養食品などがあります。利用対象者は、低タンパク食は腎臓疾患等の方、アレルゲン除去食は特定の食物アレルギーを持つ方、無乳糖食品は乳糖不耐症、または、ガラクトース血症の方となります。

2.介護食品(スマイルケア食)
「スマイルケア食」とは、農林水産省が定めた新しい介護食品の愛称です。
個々の食べる機能の状態に合わせて食品を選べるように、青、黄、赤の3色のマークで分類して表示しています。通販、ドラッグストア、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどで販売されています。

①表示マーク
青マーク 栄養補給が必要な人向けの食品
黄マーク 噛むことが難しい人向けの食品
赤マーク 飲み込むことが難しい人向けの食品

②目的と利用対象者
・健康を保つ上で、栄養補給が必要な人やえん下機能が低下している人向けの食品にスマイルケアマークを表示し、それぞれの方の状態に応じた介護食品を選びやすくすることを目的としています。
・利用対象者は、噛む、飲み込むなどの食べる機能が弱くなった人や、低栄養の人などとなります。

治療の影響などにより、えん下機能の低下や、栄養不足がある場合は、スマイルケアマークの表示のある食品を上手に選ぶことで、栄養管理に役立つでしょう。


■『殺菌表示』とは
がんの治療において免疫機能が著しく低下し、感染等に注意する観点から完全に菌を殺菌した無菌食が必要になる場合、食品表示の「殺菌表示」を確認する必要があります。その場合の、見分け方と注意点について見ていきましょう。

1.殺菌表示の殺菌とは
食品の殺菌とは、容器に密封した食品を高温で加熱することで、腐敗や食中毒の原因になる微生物などの細菌を死滅させることをいいます。殺菌のおかげで、常温で長期保存ができるようになり、がん治療中で免疫力が低下しているときにも安全に食事ができます。

2.殺菌表示の見方

「無菌充填」「高圧加熱殺菌」「気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌」「レトルトパウチ食品」のいずれかの表示がある食品を選びましょう。(殺菌表示の文言は商品によって多少違う場合があります。)

瓶詰、缶詰、レトルトパウチ食品、ブリックパック飲料(ジュース・牛乳など)は、いずれも殺菌加工されているので、無菌食として利用できます。

◆注意点◆
殺菌表示のある食品は、開封、調理後2時間以内に食べるようにします。殺菌された食品でも時間がたつと雑菌が繁殖してくる可能性があるので注意しましょう。


■まとめ
食品表示には、食品の安全性や栄養、健康管理に役立つ情報が満載です。食品を購入する際には、ぜひ、パッケージの食品表示を確認してみて下さい。同じ食品でも、メーカーによって使われている材料や添加物、栄養価なども大きく違います。また、保健機能食品などは宣伝文句に惑わされることなく、しっかり食品表示をチェックして、本当に必要なものかよく見極めてから選びたいものですね。食品表示の見方を知り、自分に合ったよりよい食品を選んで健康管理に役立てましょう。





【参考URL
・消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/
・厚生労働省「健康食品の正しい利用法」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000113706.pdf
・農林水産省「スマイルケア食」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo.html
【参考書籍】
『新版 健康食品の基礎知識』編著 芝紀代子 発行 株式会社じほう

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