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【プレミアム記事】胃腸にやさしい「おかゆごはん」のすすめ方①

2020.01.17

退院が決まると、ほっとすると同時に、自宅での食事に不安を感じる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。退院後、手術や治療の内容によっては、通常の食事が摂れるようになるまで時間がかかることもあります。それまでの期間は、体調や症状に合わせて、体の回復と負担軽減のために消化のよいおかゆを中心に、軟飯、通常のごはんへと進めていくのが一般的です。

そこで今回は、退院後の自宅での食事に役立つ、おかゆや軟飯などのやわらかくて食べやすい「ごはん」について、前後編2回に分けて解説していきます。作り方や炊き加減の目安、保存方法、注意点などの解説と、簡単にできるアレンジレシピもご紹介します。退院後の食事づくりにぜひお役立て下さい。

<退院後すぐ~2週間頃>
退院してすぐから2週間くらいは、食事のリズムを取り戻し、体力を回復する時期です。消化のよいおかゆを中心に、食べられそうなものをゆっくりと食べるようにしましょう。
玄米は、栄養は豊富ですが消化があまりよくないので、この時期は精製された白米を使うのがおすすめです。飲み込みにくい、むせやすい、下痢などの症状があるときは、2週間目以降もおかゆを続けましょう。

おかゆの炊き方
全粥(5倍がゆ)は、米1:水5の割合で炊きます。
生米から炊く基本のおかゆと、炊いたごはんを使う時短バージョンの作り方を説明します。

1)基本のおかゆ(お米から炊く)
出来上がり量の目安:お茶碗23杯分(約500g
<材料>
 米  100g
 水  500cc
<作り方> 浸水時間 30分+調理時間 約50
  米は洗って水気を切り、鍋に入れ分量の水を加えて30分ほど浸しておく。


 
ふきこぼれないように箸をかませてふたをし、強火にかける。煮立ったら弱火にして、時々かきまぜながら3040分ほど炊く。


 
火を止め、ふたをして10分ほど蒸らし、さっと混ぜる。

<ポイント>
・お米を30分から1時間ほどしっかり浸水すると、炊き上がりが早くなります。
・土鍋は底にお米がくっつきやすいので、よくかき混ぜて焦げつかないように気をつけましょう。
・炊き加減の目安は、米の粒は少し残っているが、とろっとしていて舌でつぶせるくらいのやわらかい状態です。
サラサラと水気が多くとろみがない状態では、誤嚥したりむせたりしやすくなります。 

・おかゆの温度は、熱すぎるとやけどをして口内炎につながることがあるので、人肌程度に冷ましてから食べましょう。
・吐き気や食欲不振がある時は、冷蔵庫で少し冷やすと食べやすくなります。
・鍋で炊くのが難しい場合は、炊飯器のおかゆモードの利用もおすすめです。分量どおりに入れてセットするだけで、失敗なくやわらかいおかゆを作ることができます。

2)時短バージョンのおかゆ(ご飯から炊く)
出来上がり量の目安:お茶碗2杯分(約400g
<材料>
 炊いたごはん  150g
 水       300cc
<作り方> 調理時間 約30
  鍋にごはんと水を入れてかき混ぜ、箸をかませてふたをして強火にかける。煮立ったら弱火にし、こまめにかきまぜながら20分ほど煮る。


 
火を止め、ふたをして10分ほど蒸らし、さっと混ぜる。

<ポイント>
・炊いたごはんから作る場合、煮えむらが残りやすいのでこまめにかき混ぜて下さい。
・ごはんは、炊きたて、冷やごはん、冷凍ごはんの、どの状態からでも作ることができます。冷凍ごはんを使うときは、冷凍のまま入れて弱火にかけ、煮ながら解凍してください。
・飲み込みにくい症状がある場合、ごはんから炊いたおかゆは硬さにむらができやすく、むせの原因になることもあるので、米から炊いたおかゆのほうが食べやすいでしょう。

(3)電子レンジでもっと手軽に
おかゆを炊く時間がない時や、1人分だけをすぐに作りたい時は、電子レンジを使えばさらに短時間で手軽に作ることができます。
出来上がり量の目安:お茶碗1杯分(約200g
<材料>
 炊いたごはん  100g
 水       
100cc
<作り方>調理時間 約7
①耐熱容器にごはんと水を入れて混ぜ、ふんわりとラップをかけて電子レンジ(600w)5分ほど加熱。


②電子レンジからとり出してそのまま3分ほど蒸らし、よく混ぜ合わせる。まだ固ければ、1分ずつ追加で再度加熱して調整する。
<ポイント>
・ふきこぼれやすいので、大きめで深さもある耐熱容器を使いましょう。

おかゆの保存
おかゆは作る量が増えても加熱する時間は変わらないので、多めに作って1食分ずつ冷凍しておくと便利です。
おかゆの粗熱がとれたらフリーザーバックに入れて、空気を抜くように平たくしてジッパーをしっかりと閉め、冷凍しましょう。小さめの保存容器に1食分ずつ入れて冷凍する方法もあります。電子レンジ対応の保存容器を使えば、すぐに電子レンジで解凍ができるのでおすすめです。

冷凍保存する際の注意点
・おかゆは常温に置いておくと腐りやすく風味も落ちるので、作ったらすぐに冷凍しましょう。
・一度口をつけたものは雑菌が繁殖しやすいので、冷凍保存しないでください。
・フリーザーバックや保存容器、スプーンなどは清潔なものを使いましょう。

解凍は電子レンジか湯煎で
・フリーザーバックで冷凍したおかゆは、湯を沸かした鍋にそのまま入れて温めます。
・保存容器で冷凍した場合は、フタをずらしてのせるか、ラップをかけて、電子レンジで2~3分ほど加熱しましょう。(加熱時間は、ご飯の量や電子レンジの機種によって適宜調節して下さい。)


保存期間の目安
冷凍したおかゆは2週間以内を目安に、早めに食べ切るようにしましょう。


<おかゆや軟飯の良い点と注意点>

今回ご紹介したおかゆや、次回ご紹介する軟飯は、退院後に負担なく食事をとり体調を回復していくために欠かせないものです。たくさんの良い点がありますが、同時に注意すべき点もありますので気を付けましょう。

◆良い点
・体を動かすためのエネルギー源になる
お米に豊富な炭水化物(糖質)は、摂取すると素早くエネルギー源になり、脳や体を動かす力になります。
・水分も一緒にとれる
ごはんよりも水分量が多いので、米と水を一緒に摂ることができ、口の渇きや脱水の予防にも役立ちます。
・体が温まる
あたたかいおかゆや軟飯を食べると、胃腸が温まります。体が温まると免疫力アップも期待できます。

◆注意点
・炭水化物は摂取できるが、ほかの栄養素が不足する
お米の栄養は炭水化物がほとんどです。タンパク質やビタミンなどの栄養素は不足するので、肉や魚、野菜などの食材を加えて雑炊にしたり、おかずをバランスよく食べるようにしましょう。アレンジレシピをお役立てください。
・エネルギー量が少ない
おかゆは、ごはんよりも水分が多く米の量が少ないため、お茶碗1杯でとれるエネルギー量はごはんの半分以下です。エネルギー不足にならないように、体調の回復に応じておかゆから軟飯、普通のごはんに戻していきましょう。
・噛まずに食べてしまう
おかゆや軟飯はやわらかいので、噛まずに飲み込んでしまいがちです。よく噛まずに食べると、唾液の分泌が減って消化吸収が悪くなることがあります。おかゆや軟飯を食べる時は、しっかり噛んで食べるようにしましょう。
・飽きやすい、米のにおいが強くなる
おかゆや軟飯は味がなく飽きやすいので、色々な具材をトッピングしたり、一緒に炊き込んだりして、おいしく食べられる工夫をするとよいでしょう。吐き気がある時は、米を炊いたにおいを強く感じるので、湯気が立たない程度に冷やすと食べやすくなります。


<おかゆのアレンジレシピ>

カマエイド掲載レシピの中から、おすすめのアレンジレシピをご紹介します。

【たっぷりきのこの雑炊】

おかゆにきのこと卵を入れて、うすく味つけをした雑炊です。
退院後に食欲がわかない時や、吐き気のあるときでも食べやすいあっさりとした味です。
https://kama-aid.com/recipe/2718

【白身魚と卵のおじや】

おかゆに白身魚のタラと卵を入れることで、タンパク質がしっかりとれます。
白身魚は高タンパク低脂肪なので、下痢など胃腸の調子が悪いときの栄養補給におすすめです。
https://kama-aid.com/recipe/2679

【温泉卵とサラダチキンのせ洋風がゆ】

おかゆに、温泉卵、サラダチキン、粉チーズをのせて、1品でしっかり栄養が補給できます。
退院後の栄養不足が気になるときにおすすめです。
https://kama-aid.com/recipe/5439


次回は、軟飯の作り方やアレンジレシピをご紹介します。お楽しみに!

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