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《知りたい》口から食べることの役割

2020.10.16

食べたり話したりすることで普段何気なく使っている『口』。全身の健康に大きくかかわる大切な臓器の一つであり、「食べる」「話す」「表情をつくる」「呼吸をする」など、様々な役割を担っています。
人間の臓器は使うことでその機能が維持されるため、術後などに一度絶食した場合にも、再び口から食べられるようにリハビリや口腔ケアをしながら、適切に口を使える状態を目指していくこととなります。そこで今回は、口を使うことや口から食べることの大切さについて詳しくみていきましょう。


5つの役割
  口を使うことや食事中の会話を通して、感覚機能(視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚)に刺激を与え、脳を活性化させる。
  唾液の分泌を促し、食べ物の飲み込みや消化を助けたり、口腔内の自浄作用を働かせて体内への細菌の侵入を防いだりする。
  食べるという動作によって目と手と口(咀嚼)が連動してそれぞれの機能を向上させ、脳への刺激や全身の筋力へのリハビリテーション効果が期待できる。
  食べる行為が、楽しみや喜び、癒しなど、精神的なプラスにつながる。
  食事を通して周囲の人との間にコミュニケーションが生まれやすい。


■病態や摂食嚥下機能に合った栄養の摂り方
栄養摂取の手段には、口から食べる経口摂取のほかに、静脈栄養や経管栄養法という選択肢もあります。静脈栄養は静脈内に点滴などで水分や電解質、栄養を投与する方法で、経管栄養法は消化管内にチューブを挿入して栄養剤を送り込む方法です。これらの方法は、がん摘出手術後に口から食べることが難しい場合や、抗がん剤の副作用等により一時的に食欲が著しく低下した際などに栄養を補い、栄養状態の維持・改善をすることができます。静脈栄養・経管栄養法のいずれも、口から食べられるようになれば段階的に食べる量を増やしていき、『口から十分な栄養を摂ること』を目指します。必要な栄養を摂ることは、病状の改善や患者さんのQOLの向上にとても大切です。


■適切な栄養管理による治療効果
術後の合併症やがん治療の副作用の緩和・軽減には、栄養管理と運動により筋肉量を維持し、体重減少を最小限にすることが非常に大切です。特に筋肉の材料となるタンパク質は、がん治療の継続のために必要不可欠な栄養素といえるでしょう。
また、腸は免疫機能の「かなめ」となる臓器であり、長期間にわたって胃腸を使わず点滴のみから栄養を摂っていると腸内細菌のバランスが乱れ、免疫力の低下を引き起こす恐れがあるといわれています。経口摂取や経管栄養法によって腸管を使って栄養を摂り腸内細菌のバランスを良好に保つことは、がん細胞から分泌される物質による慢性炎症を抑える効果も期待できるでしょう。


■心や五感が喜ぶ『食』のアプローチを
食べることがつらいときや、食べたくても食べられないときには無理をせず、医師や言語聴覚士、管理栄養士に相談しましょう。摂食嚥下リハビリテーションで、食べることや飲み込むことの練習に取り組むことも大切です。
食事量が低下しているときにはまず食べたいものを食べることで、味覚的・心理的に満足度が高まり、食欲が出てくる場合もあります。また、盛り付けを工夫したり好きな音楽をかけたり、一緒に食べて楽しい雰囲気で会話をしたりと、視覚や聴覚にアプローチすることも効果的です。


■まとめ
今回は口から食べることの役割について解説しました。食べることにお悩みを抱えているときには、専門家のサポートのもと無理なくできることから取り組んでみてください。
カマエイドでは食のお悩みに応じたレシピを多数ご紹介しています。口から食べる喜びや、『おいしい』『うれしい』という患者さんの気持ちのサポートにもお役立ていただけることを願っています。






【参考文献】
一般社団法人日本病態栄養学会 編『がん病態栄養専門管理栄養士のためのがん栄養療法ガイドブック』メディカルレビュー社 2015
手嶋登志子『高齢者のQOLを高める 食介護論 口から食べるしあわせ』日本医療企画2006
小山珠美『口から食べるリハビリテーション』 日本静脈経腸栄養学会雑誌30(5)1113-11182015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/30/5/30_1113/_pdf/-char/ja
国立がん研究センターがん情報サービス『経管栄養と中心静脈栄養』
https://ganjoho.jp/public/support/dietarylife/enteral_nutrition.html
比企直樹『がん研有明病院の抗がん剤・放射線治療に向き合う食事』女子栄養大学出版部 2014

 

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