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《ラクして得する!》電子レンジの活用術
2020.01.31
治療の影響や副作用などで調理がつらい時や、忙しく料理にじっくり時間をかけられない際などにご活用いただける「電子レンジ」調理をご紹介します。「温める」だけでなく「煮る」「蒸す」「ゆでる」などのさまざまな役目も果たしてくれる、万能な電子調理器のひとつです。知っているようで知らない電子レンジの特長や注意点など、今回は管理栄養士ならではの視点も交えてご紹介いたします。
<電子レンジで調理するメリット>
①1人分(1回分)の調理がしやすい
1人分を鍋で調理する場合、分量が少なく難しく感じることがありますが、電子レンジを使えば簡単に調理でき、鍋を洗う手間も省けます。
②調理の時間が短縮できる
自動で効率よく加熱できるため、調理時間が短く済みます。器に盛りつけて加熱し、そのまま提供してもよいでしょう。
③調理の下処理が簡単にできる
硬いかぼちゃを加熱して切りやすくしたり、乾物(干しシイタケなど)を戻す時間を短縮したり、下処理に役立ちます。
④品数を増やしやすい
電子レンジを使ったレシピは簡単な手順のものが多い傾向にあり、品数を増やしたい時におすすめです。
⑤少量の油で揚げ物が調理できる
下味をつけて片栗粉などをまぶした食材に、油をまんべんなく回しかけたり刷毛で塗るなどして電子レンジで加熱することで、少量の油で揚げ物を作ることができます。
⑥暑い時期の調理におすすめ
暑い時期、台所で火を使ってますます暑くなって汗びっしょり、なんてこともありますよね。火を使わない電子レンジの使用は台所の気温上昇を抑えます。また、調理中のにおいも軽減することができるでしょう。
☆①~⑥の要素を活かした「電子レンジ」活用レシピはこちら⇒https://kama-aid.com/tag/2
<栄養面における特徴>
ビタミン類の損失を防ぐ
通常、フライパンや鍋などを使った調理は食材の外側から熱が加わるため、中まで加熱されるのに時間がかかります。一方、マイクロ波を用いた電子レンジは、食べ物の外側と内部がほぼ同時に加熱されるため、短時間で調理が可能です。さらにあまり水を使わないので鍋で茹でた場合と比較して、食材の旨味を逃しにくく、水に溶けやすい性質をもつビタミンB群やビタミンCが減少しにくいと言われています。
特に熱にも弱い特性をもつビタミンCなどは、加熱時間が短ければ短いほど、その損失をおさえることができます。
カマエイドでもブロッコリーを使ったレシピをたくさんご紹介していますが、電子レンジ調理は鍋で茹でたブロッコリーと比べると、ビタミンCの残留は1.5倍も多いと言われています。
<活用時の注意点とポイント>
① ラップはふんわりかける
ラップをピッタリかけてしまうと破裂の原因になります。ふんわりかけるか、端を少し開けて加熱するようにしましょう。水分を飛ばしたい時にはラップ無しで加熱してください。
② 火の通りにくいものは上に
電磁波が上から出ている電子レンジで食材を重ねて加熱するときは、火が通りにくい食材を上に、火の通りやすい食材を下に配置することで加熱ムラを防ぐことができます。
電磁波が下から出るタイプもあります。その場合は火の通りにくいものを下の方に置くと良いでしょう。
③ 電子レンジのワット数の確認を
電子レンジによってワット数が異なるため、確認しておくことで料理の失敗を防ぐことができます。また、同じワット数でも機種やメーカーによって加熱時間が異なるため、お使いの機種に応じて適宜調整してください。
④ 取り出す際はやけどに注意
電子レンジで加熱した後、皿や食材が熱くなっているだけでなく、熱い蒸気も発生しています。ミトンを使うなどして、やけどをしないように注意しましょう。また、ラップや蓋を開けるときに蒸気と料理のにおいが一気に立ち込めるので、においが気になる方は気を付けてください。
⑤ 食品の加熱し過ぎに注意
加熱し過ぎて水分がなくなると、食品が燃える原因になります。中でも、さつま芋や中華饅、油脂分の多いコロッケなどは注意が必要です。
⑥ 掃除をしよう
電子レンジが汚れていると、食品のカスなどによって火災が発生しやすくなります。また、金属を使ったもの、漆器やホウロウなどは電子レンジでは使えません。電子レンジで使えるかどうか、使用したい容器の注意書きなどを確認するようにしましょう。
<まとめ>
今回は電子レンジの活用方法についてご紹介しました。聞いたことはあるもののまだ試していない方や、電子レンジの使用がごはんやおかずの温めにとどまっている方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。メニューの幅や食事の楽しみが増えるきっかけになることを願っています。
【参考URL等】
・東京消防庁
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201703/
・「おいしい!」を解き明かす 料理と栄養の科学/渋川祥子 (監修), 牧野直子 (監修)/新星出版社; A5版 (2014/8/22)