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【プレミアム記事】《使い方いろいろ》ピュレの魅力
2018.12.19
がん患者さんは治療の副作用によって、今までと同じ食事が食べにくくなったり、噛む・飲み込むといった咀嚼機能・嚥下機能や消化器などの内臓機能が低下する場合があります。
食事は日々の楽しみの一つであり、栄養は病気の回復や、治療効果を高めるためには欠かせないものです。
なるべく食事量が落ちないよう、個々の症状に合わせた味や食べやすさ、見た目のおいしさを考慮した食事が必要とされます。
ただ、そのような食事を毎回作るのは大変と感じる方が多いのではないでしょうか。
そんな時にぜひおすすめしたいのが『ピュレ』です。
ピュレとは、様々な食材を加熱、もしくは生のままミキサーなどで撹拌し、とろみのある滑らかな半液体状にしたものをいいます。
今回はそんなピュレの魅力や作り方、レシピなどをご紹介したいと思います。
◎ピュレのおすすめポイント
① 個々の咀嚼・嚥下機能に対応できる。
繊維のある野菜や、加熱しても水分が少なく飲み込みにくい野菜、そのままだと食べにくい肉や魚などもピュレ状にすることで食べやすくなります。
また、とろみの度合いによって、個々の嚥下機能に対応できます。
② 簡単に作れる
家にある調理器具(まな板・包丁・ミキサー・鍋・電子レンジなど)で簡単に調理できます。
③ 冷凍保存できる
作ったピュレは冷凍庫で凍らせて長期保存できます。
④ 組み合わせ次第で様々なメニューに展開できる
各食材で作ったピュレを複数使って調理することで様々なメニューを作れます。
⑤ 料理に彩りを添えられる
赤・オレンジ・黄色・緑・茶色など様々な色のピュレを作ることで、料理に彩りを加えられ、見た目のおいしさもアップします。
◎基本のピュレの作り方【野菜編】
『トマトピュレ』
≪材料≫
トマト 小1/2個(70g)
①沸騰した湯に入れて湯剥きする。
②ミキサーにかけて撹拌する。
③鍋で加熱して水分を飛ばし、とろみが出てきたら火を止める。
※トマトジュースやトマト缶を使えば③の工程から作れます。
『人参ピュレ』
≪材料≫
人参 1/2本(100g)
①人参の皮をむいて、薄切りにする。
②鍋に①とひたひたの水を加え、沸騰後4~5分茹でる。
≪電子レンジの場合≫耐熱皿に①と大さじ3の水を加え、ふんわりラップをして600Wで4分加熱する。
③ミキサーに②と煮汁(又はだし汁)を大さじ2加えて撹拌する。
『青菜ピュレ』
≪材料≫
小松菜(ほうれん草)2束(60g)
①小松菜を流水でよく洗い、沸騰した湯で2~3分柔らかくなるまで茹でる。
≪電子レンジの場合≫耐熱皿に半分に切った小松菜と大さじ2の水を加え。ふんわりラップをして600W1分半~2分加熱する。
②流水に①をさらして粗熱が取れたら、水気をよく絞り、みじん切りにする。
③ミキサーに②と大さじ1の水(又はだし汁)を加えて撹拌する。
『かぼちゃピュレ』
≪材料≫
かぼちゃ 1/8個(130g)
①かぼちゃは皮と種を取り除き5~8mm幅の薄切りにする。
②耐熱皿に①と大さじ3の水を加え、600Wの電子レンジで3~3分半加熱する。
③ミキサーに②と煮汁大さじ3~4(又はだし汁)を加えて撹拌する。
◎基本のピュレの作り方【果物編】
『りんごピュレ』
≪材料≫
りんご 1/2個(100g)
①りんごは皮を剥き、芯を取り除き16等分にする。
②鍋に①とひたひたの水を加え、火にかけ約10分間中~弱火で煮る。
③りんごが透き通り、水が少なくなってきたら火を止める。
④ミキサーに③と煮汁大さじ1を加え撹拌する。
◎ピュレの保存方法
余ったピュレは冷凍保存できます。
製氷皿に入れて冷凍し、凍ったら製氷皿から外して、種類別にラップで包みタッパーに入れたり、密閉できる保存袋に入れましょう。
(作成日を記入し、1~2週間で使い切ってください。)
小分けして冷凍保存することで、使いたいときに少量から、食べる人数に合わせて量の調整ができるので便利です。
◎ピュレに適している食品
・人参、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、などでんぷん質が多い野菜など、加熱してミキサーにかけると自然なとろみがでるものがおすすめです。
・トマトや果物などでんぷん質が少なく、ミキサーにかけてもサラサラした液状のものは、煮詰めて水分を飛ばすことでとろみを出したり、液状のまま凍らせて、解凍後に片栗粉や市販のとろみ剤でとろみ付けしましょう。
◎ピュレを活用したおすすめレシピ
『人参ポタージュ』
≪材料≫
人参ピュレ 60g
固形コンソメ 1/2個
牛乳 100㎖
≪作り方≫
①人参ピュレと固形コンソメ、牛乳をスープカップに入れ、600Wのレンジで1分半~2
分加熱しよく混ぜ合わせる。
『かぼちゃとリンゴのツナマヨサラダ』
≪材料≫
かぼちゃピュレ 45g
りんごピュレ 30g
ツナピュレ 小さじ1
マヨネーズ 小さじ1
塩こしょう 少々
≪作り方≫
①かぼちゃピュレとりんごピュレを解凍して塩コショウで味付けし、器に盛る。
②ツナピュレとマヨネーズをのせる。
『豆腐サラダ』
≪材料≫
豆腐150g
ツナピュレ大さじ1
トマトピュレ小さじ1
【小松菜のバジル風ソース】
小松菜ピュレ小さじ1
オリーブ油小さじ1
粉チーズ小さじ1/2
塩少々
≪作り方≫
①豆腐にツナピュレ、トマトピュレをのせる。
②【小松菜のバジル風ソース】を①の上から適量かける。
便利に活用できるピュレ。食材や組み合わせなど、みなさんのお好みに合わせてお試しください。
次回はタンパク質の食材を使用したピュレをご紹介予定です!