- プロのひと工夫
簡単に栄養バランスが摂れる工夫とは
2018.10.05
毎日の食事はがんの治療や、身体の栄養状態・体力維持ためには欠かせないもの。
そのため、様々な食の悩みに応じたメニューを日々考え作って食べることはとても大事なことです。しかし、時には忙しくて食事を作る時間がなかったり、食事の準備を負担に感じてしまうこともあるかと思います。
そんなときに、簡単に作れて栄養豊富な料理を一品でも知っていれば、少し心に余裕が出てくるものです。今回はそんな簡単で栄養が摂りやすいメニューと、そのレシピをご紹介したいと思います。
◎1回の食事で摂りたい栄養素とは
一般的にバランスの良い食事とは『主食・主菜・副菜の揃った食事』とされています。これは、『一汁三菜』といい、ご飯・パン・麺などの主食に、肉・魚・大豆製品などの主菜を1品、野菜・きのこ・海藻類などの副菜を1~2品、汁物を摂ることで、多種多様な食材からバランスよく栄養が摂れ、また一食で『五味(甘い・辛い・酸い・苦い・塩辛い)』を基本とした様々な料理の味を楽しめる日本の伝統的な食事スタイルです。
主食は主に脳や体を動かすエネルギー源になる炭水化物の補給。主菜は筋肉や血液など体をつくるたんぱく質の補給。副菜は栄養素の代謝を助けるビタミンや補酵素を補う役目があり、一汁三菜をそろえると、一目で各栄養素を含む食材をどれくらい摂れているか確認することができるメリットがあります。
◎食事の準備に負担を感じるとき・たくさん食べられないとき
時間や体力、体調面など様々な理由で、一汁三菜の料理を用意できない方、食べられない方も多くいらっしゃいます。そんな方におすすめなのが、『具だくさん煮込み料理』です。
特に副菜の野菜料理は下処理も手間がかかり何品も作るのは負担に感じる方が多いと思います。煮込み料理なら、一つの鍋に何品かの食材を切って煮込むだけ、しかも加熱することで野菜の量も沢山食べられ、煮込んでいる時間は料理以外の家事などもすすめられ一石二鳥です。
例えば、カレーは1品で主食のご飯、主菜の肉、副菜の人参・ジャガイモ・玉ねぎなどの野菜の栄養を一皿で摂ることができます。カレー以外にも、シチュー、鍋料理、おでん、ミネストローネ、クラムチャウダーなど具沢山のスープは、主菜と副菜の食材を一品で補うことができ、しかも作り置きができ保存性も高い点も助かります。
また、咀嚼や飲み込みが困難な方には、たんぱく質は柔らかい肉団子や魚のつみれ、豆腐などにし、野菜は煮込み時間を調整して柔らかくしたり、スープと一緒にミキサーにかけることで、個々の咀嚼・嚥下機能に応じて食べやすく調理することも可能です。
今回は上記のような1品で手軽に栄養が摂りやすいメニューのうち、簡単に作れて栄養満点なポトフのレシピをご紹介したいと思います。
『栄養満点☆ヘルシーポトフ』
≪材料≫2人分
鶏肉 140g
ウインナー 4本
キャベツ 120g(約1/8個)
玉ねぎ 35g(小1/2個)
人参 80g(小1本)
ジャガイモ 35g(約1/2個)
水 400㎖
固形コンソメ 2個
塩コショウ 少々
≪作り方≫
①玉ねぎ、人参、ジャガイモは皮を剥き、一口大に切る。キャベツはざく切りにする。
②鍋に水とコンソメ、①を入れ火にかける。
③沸騰したら一口大に切った鶏肉とウインナーを入10~15分煮込む。
④塩コショウで味を調える。
≪ポイント≫
①吐き気や胸やけのある方
脂肪分の多い肉は脂身を取り除き、ウインナーなど香りの強い食材は避けて、
あっさりとした消化の良い食材や味付けを心掛けましょう。
料理の匂いで吐き気がする場合は、冷ましてから提供すると匂いが抑えられ食べやすくなります。
②味覚に違和感のある方
塩気を感じにくい場合は、だし(コンソメ)の旨味を濃くつけると良いです。
カレー粉やトマトペーストなどを加えてアレンジし、辛みや酸味、香りを効かせると味を感じやすくなることがあります。
③嚥下や咀嚼にお悩みの方
食材を食べやすい大きさに切り、よく煮込んで咀嚼しやすくしましょう。
ミキサーにかけて滑らかなポタージュ状にして、とろみをつけると飲み込みやすくなります。
④少量で栄養をとりたい方
カロリーを摂りたい場合は油脂(バターやごま油など)を加えます。
蛋白質を補いたい場合は、牛乳、豆乳、生クリームやスキムミルクなどを加えてミルク煮にアレンジしたり、肉類のほかにシーフードミックスや茹で大豆を加えても良く合います。
また、ビタミンを多く含む緑黄色野菜(人参、ブロッコリー、ほうれん草など)を多く使用すると良いでしょう。
ミキサーにかけてポタージュ状にすると咀嚼の負担も減り、のど越しもよくなるので栄養を摂りやすくなります。
◎まとめ
今回は簡単で栄養が摂りやすいメニューをご紹介しました。食事は毎日のことなので、料理が負担にならないよう、時には適度に手を抜くことも大切です。今はカット野菜や冷凍の肉団子など、ある程度下ごしらえしてあり、あとは加熱するだけの食材も売っていますので、そういったものを上手く活用するのも良いと思います。
簡単に作れて栄養が摂れる煮込みメニューはカマエイドの掲載レシピにも多く載っていますので、ぜひ参考にしてください。