- プロのひと工夫
《盛り付け上手》食欲が増す盛り付けとは
2018.03.29
食べ物を味わう際に、五感の中でも視覚が果たす役割は特に大きいと言われます。そのため、盛り付けによって食欲が増すこともあり、盛り付けまでが料理と言われています。
そこで今回は食欲不振の時にお試しいただきたい工夫や、料理をより美味く見せる方法をご紹介します。
POINT① 一口大に切る、一口サイズや少量ずつ盛る
「炒り鶏」です。
大皿に盛り付けられることも多いですが、こちらは小さな器で1人分の2/3量程を盛ったものです。1人分を盛り付けたものと見比べてみましょう。
たっぷり盛られているのもおいしそうですが、食欲が落ちているときにはプレッシャーに感じてしまいそうです。少量にすることで「このくらいなら食べられそう」という前向きな気持ちを引き出せるような工夫もしてみましょう。ひとつひとつの具の大きさも、小さめに切ると食べやすいでしょう。
POINT② トッピングや彩りを活かす
付け合わせの野菜やトッピングの香味野菜、柑橘類が添えられていることで、彩りがよくなったり、季節を感じられたり、さらには香りを楽しむことができ、食欲を増進させてくれることがあります。
同じ「炒り鶏」ですが、きぬさやの有り無しで比べてみましょう。
きぬさやがないものも、落ち着いた色合いでよいですが、少し寂しい感じもします。
きぬさやを別茹でして添える工程は一手間かかりますが、色鮮やかな緑色を添えることで他の食材も引き立ちます。きぬさやはゆで過ぎず、流水でしっかり冷ましましょう。さやいんげんなど他の緑の野菜でもOKです。
野菜の飾り切りや型抜きも、料理を華やかに見せてくれる方法のひとつです。
ひと手間かかりますが、季節を感じられたり、行事食にもおすすめです。目で見て楽しめる食事は食欲を掻き立ててくれるでしょう。
POINT③ 出来立て感、新鮮感を出す
惣菜やお弁当などの売れ行きは見た目のおいしさに加え、出来立て感、新鮮感に大きく左右されると言われます。家庭で調理するものであってもこれらを意識した盛り付けをしましょう。みりんやはちみつは、甘味をつけるだけでなくテリやツヤを出す効果があります。煮物や照り焼きなどの料理を作るときに取り入れるとよいでしょう。
【炒り鶏のレシピ】
<材料(2人分)>
鶏もも肉 1/2枚(150g)
れんこん 1/2節(75g)
ごぼう 1/3本(75g)
人参 1/3本(50g)
きぬさや 6枚(25g)
油 小さじ1(4g)
砂糖 小さじ2(6g)
みりん 小さじ2(12g)
醤油 小さじ2(12g)
水 1.5カップ(300ml)
<手順>
1.鶏肉は一口大、れんこん、ごぼうは乱切りにする。人参はお好みで花の型に抜いたり、飾り切りをしたりする。きぬさやはヘタと筋を除いて、沸騰したお湯に塩少々を入れて1分程茹でて流水で冷さましておく。
2.鍋に油をひいて鶏肉、野菜の順で炒める。肉の色が変わったら水、砂糖、みりんを入れ15分程煮て、煮汁が半分くらいになったら醤油を加えて2~3分煮て、器に盛り、きぬさやを散らす。
POINT④ 高さ、立体感を出す
高さ出す盛り付けは、和食でも洋食でも使えるテクニックです。高低差があると美しくみえるので、料理をおいしそうにみせる上で重要なポイントと言われます。
ほうれん草のおひたしです。高さとかつおぶしのトッピングがポイントですが、左右で見比べてみましょう。
少しの工夫ですが、高さとトッピングが見た目のおいしさのポイントになっています。
また、切りそろえた断面をみせても美しいですが、和えた盛り付けでも、高さとトッピングでおいしそうに見せられます。
おひたしに限らず、和え物やサラダなどでも使えるテクニックですので、ぜひ摂り入れてみて下さい。
【ほうれん草のおひたしのレシピ】
<材料(2人分)>
ほうれん草 1/2袋(100g)
だし 小さじ2(10g)
うすくちしょうゆ 小さじ1(6g)
かつおぶし 少々
<手順>
1.ほうれん草は根の部分を除いて、よく洗ったら水気をしっかりと切る。水気をよく切ることでお湯の温度が下がるのを最小限にします。
2.鍋にたっぷりのお湯を沸かして強火にかけ、沸騰したら塩を小さじ1/2~小さじ1程度入れ、ほうれん草を根元から入れて菜箸を使って全体を沈める。再沸騰したら全体を一度ひっくり返して均一に火が通るようにする。
3.茹で始めてから2分~2分半程度(※)したら、水を張ったボウルに入れて、流水をかけて冷まし、しっかりと冷まして色止めをする。
4.水気を絞って根元を切り落とし、3~4cmに切ってお皿に盛り、かつおぶしをのせる。だしと醤油をあわせたものをかけてお召し上がりください。
※野菜によって茹で時間は異なります。また好みや食べやすさに合わせて調整して下さい。
POINT⑤ 形を変えてみる
同じ料理でも形を変えることで気分が変わります。
この料理、同じ材料で量を増やして大きく切って煮込むと「ポトフ」になり、小さく刻み調理することで「スープ」になります。食欲が落ちているときに大きな食材は少々プレッシャーかもしれません。少量なら食べられるというようであれば、野菜やタンパク質源の入ったスープをお試しください。食べやすい量をマグカップなどの小さな器で盛り付けてみてはいかがでしょう。
形を変えて盛り付ける量を工夫することの大切さが感じられますね。
【野菜とウインナーのコンソメスープ】
<材料(2人分)>
ウインナー 2本
キャベツ 1/10個(50g程度)
玉ねぎ 1/4個(50g)
人参 1/6本(25g)
固形コンソメ 1個(5g)
水 2カップ(400ml)
パセリ 少々
<手順>
1.ウインナーは1cm輪切り、キャベツは2cm角、人参、玉ねぎは1cm角に切る。
2.鍋に水、コンソメを入れて火にかけ、野菜を入れて中火で7~8分煮る。ウインナーを入れて2~3分煮る。刻んだパセリを入れて完成。
■まとめ
盛り付けに少しの工夫を取り入れるだけで、料理がより美味しく見えたり、食べやすくなります。食べる人のことを思った盛り付けは、食べる人、作る人の双方の気持ちを繋げることとなり、「食」を通じて前向きな気持ちを生むことができるでしょう。
毎日のお食事を、少し素敵なものに。是非お試しください!