- プロのひと工夫
食中毒を防ごう!
2020.07.31
「食中毒」は家庭でも多く発生していることをご存知ですか?
家庭における食中毒の発生は、症状が軽いケースや発症する人数が少ないときには風邪や寝冷えなどと思われがちで、食中毒と気付かないうちに重症化してしまう場合もあります。抗がん剤治療等で免疫力が低下している場合には、食中毒から重篤な症状を引き起こす可能性もあるため、特に注意が必要です。
食中毒は一年中発生する可能性がありますが、6月~9月は気温と湿気により細菌が繁殖しやすく、細菌による食中毒が最も多く発生する時期です。今回は、食品をより安全に調理して食べるために、食中毒予防の3原則に沿って、食品の衛生的な取り扱いについて解説していきます。
【食中毒予防の3原則:つけない・増やさない・やっつける】
■つけない(清潔・消毒)
・手洗いをしましょう
調理の前だけでなく、肉、魚、卵を触った後やトイレに行った後、肌や髪に触れた後など、調理中もこまめに手を洗いましょう。石鹸を使って指先や爪の間、手首など洗い残しがないよう30秒以上かけて洗い、しっかりと流水ですすぎます。清潔なタオルや使い捨てのペーパータオルでよく拭いてください。手に傷がある場合は、食品に直接触れないようにすることも重要です。
・調理台・調理器具は清潔に保ちましょう
調理の前にタオルやふきんを清潔なものに交換し、調理台の上に余計なものを置かないようにしてください。調理器具はきれいに洗って消毒しておきましょう。
・生の肉類・魚類と他の食品を分けましょう
まず、サラダなどの生で食べるものを調理し、生の肉や魚などは後から調理するなど、調理手順を考えてから調理に取り掛かるようにしましょう。生の肉や魚を切った後、洗わずに同じ包丁やまな板で、野菜など生で食べる食品を切ってはいけません。
できれば、生で食べる食品用と肉・魚用で、まな板を分けるとより安全です。
・生で食べる野菜はしっかりと洗いましょう
レタスやキャベツなどは葉をはがして1枚ずつ流水で洗いましょう。きゅうりはいぼに汚れなどがたまりやすいのでしっかりとこすり洗いをし、トマトはヘタをとって流水でよく洗いましょう。切った野菜は菌が繁殖しやすいので、野菜を生食する場合は調理後なるべく早く食べるようにしてください。
■増やさない(迅速・冷却)
・買い物時にも注意しましょう
買い物をするときには賞味期限をよく確認し、期限内に使いきれる分を購入しましょう。生物を購入した後は早めに帰宅し、すぐに冷蔵庫に入れるようにしてください。
・温度管理に気をつけましょう
調理後の食品はすぐに食べるようにし、調理済みの食品を室温で2時間以上放置するのはやめましょう。調理済みの食品を保存するときは、清潔な容器に入れてなるべく早く5℃以下まで冷却してください。食品が早く冷えるよう小分けしたり、浅い容器を使ったりするのがおすすめです。冷蔵庫で冷やしても、細菌が増えるスピードがゆっくりになるだけなので、早めに食べきるようにしましょう。
冷凍した食品を解凍する場合、室温での自然解凍はせず、冷蔵庫か電子レンジで解凍しましょう。冷凍や解凍を繰り返すことで食中毒菌が増殖する可能性があります。料理に使う分だけ解凍し、再冷凍するのはやめましょう。
■やっつける(加熱・消毒)
・しっかりと加熱しましょう
多くの細菌は『75℃以上で1分以上』加熱することで死滅します。しっかりと沸騰させたり、肉類は肉汁が透明になっていることを確認したりして、生焼けを防ぎましょう。
暑い時期や体調が悪いときは卵の生食は控えて、しっかりと火を通して食べるようにしてください。保存した食品を温め直すときも、十分に加熱しましょう。電子レンジで加熱する場合は、途中でかき混ぜながら加熱するとムラなく温めることができます。
・調理器具を殺菌しましょう
使い終わった調理器具や食器は、早めに洗ってしっかりと殺菌し、次回の調理の時に安心して使えるようにしておきましょう。調理器具の殺菌は「つけない・やっつける」ために重要です。今回は、まな板・スポンジ・ふきんの殺菌方法をご紹介します。
◇調理器具の殺菌方法◇
【まな板】
まな板は食品に直接触れるものです。包丁でできたまな板の傷に細菌が入り込んで繁殖しやすいので、特に注意して殺菌する必要があります。
①しっかりと汚れを落とし、しっかりとすすぐ
②熱湯をかけて消毒する
③しっかりと乾燥させ、風通しの良い場所で保管する
・生の肉や魚を切った直後のまな板に直接熱湯をかけると、タンパク質が固まって汚れが落ちにくくなってしまいます。熱湯をかけるときは必ず汚れを落としてからにしましょう。
・使用する前には、まな板が清潔なことを確認し、アルコールスプレーをかけてもう一度よく乾かしてから使うと良いでしょう。
・週に1回程度は、塩素系漂白剤で消毒・漂白をしましょう。まな板にキッチンペーパーを敷いて薄めた塩素系漂白剤をかけ、5分程度置きます。
・木のまな板は漂白剤を使用すると黒ずみの原因になることもあるので、しっかり洗って熱湯消毒したので良いでしょう。素材によっても殺菌方法が異なるため、お手持ちのまな板を確認してください。
・木のまな板は傷がつきやすく、水分を吸ってカビが発生することもあります。衛生的な調理のためには、プラスチック製のまな板がおすすめです。
【スポンジ】
スポンジは細菌が繁殖しやすいといわれる「栄養・水分・温度」の3条件がそろっているため、濡れた状態で放置しているとあっという間に細菌が繁殖してしまいます。
・使用したらその都度しっかりと汚れを落として、風通しの良いところで乾燥させましょう。
・スポンジを複数個用意して交互に使い、乾燥させる時間を設けると良いでしょう。
・一日の終わりには、熱湯をかけて消毒したり、殺菌効果がある洗剤をもみ込んでおくのもおすすめです。
・スポンジは劣化も早いので、2週間に1回程度は交換することでも清潔に保つことができるでしょう。
【ふきん】
ふきんは湿っていることが多いため菌が増えやすく、他の調理器具に菌を付着させてしまう可能性もあります。
・日頃はこまめに取り替えて洗濯し、天日干しするのが良いでしょう。
・週に1、2回は熱湯で1~2分ほど煮る煮沸消毒や、家庭用の塩素系漂白剤での除菌をしましょう。
・ふきんの代わりに、使い捨てのダスターを使うのも良いでしょう。
■まとめ
食中毒は、ちょっとした油断によって起こる可能性があります。予防するには、食中毒予防の3原則「つけない・増やさない・やっつける」を常に意識しておくことが大切です。今回ご紹介した食中毒の予防方法は、どれも簡単ですぐに取り組めるものばかりです。基本をしっかり守って家庭での食中毒を予防し、家庭での衛生管理を習慣づけて安心して食事を楽しみましょう。
【参考URL】
・厚生労働省 家庭でできる食中毒予防のポイント
https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/0903/h0331-1.html
・農林水産省 生の野菜や果物を安全でおいしく食べるために
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/fresh_vege.html