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がん(癌)患者さんの「体重減少」について

がん患者さんが抱える悩みの一つに「食事の悩み」があります。「口内炎」「味覚障害」など「治療的影響」についてよく解説されていますが、他にも「心理的影響」や「体力の影響」が原因と言われています。
「食事の悩み」は、栄養摂取量の低下や、体重減少、筋力の低下につながる可能性があります。栄養状態を判断する際は、体重減少が最も身近な指標であり、「栄養素の不足、活動量に応じたエネルギー量摂取不足」などの状況を示し、「食事栄養の投与で改善する状態」の参考指標となります。また、体重減少はがん患者さんにしばしば見られますが、体重減少がQOL低下や治療継続に影響してくると言われています。どの程度の体重減少に注意したほうが良いのか?家庭で参考となる指標と、体重減少の原因について解説します。

<監修>
大妻女子大学 家政学部教授 がん病態栄養専門管理栄養士 川口美喜子 先生

家庭で参考にする「体重減少」の指標は?

家庭の体重減少のチェックとして、以下の指標を参考にしてください。

  • 1週間で2%以上の体重減少
  • 1ヶ月で5%以上の体重減少
  • 6ヶ月で10%以上の体重減少

    通常の体重が50kgの方の場合

    • 1週間で1kg以上の体重減少
    • 1ヶ月で2.5kg以上の体重減少
    • 6ヶ月で5kg以上の体重減少

体重減少の原因って?

がん患者さんの体重減少については、大きく分けると2つの原因に分類されます。

がん関連性低栄養

「心理的影響(食べたくない・予測性嘔吐など)」「治療的影響(口内炎・味覚障害・吐き気など)」「体力の影響(起き上がれない)」が原因と考えられる栄養摂取量の低下です。カマエイド「食事の工夫」ページでは、3つのカテゴリに分類し、それぞれへの対応方法を記載しています。たんばく質・エネルギーを補給することで、栄養状態の改善が可能である考えられています。

がん誘発性低栄養

がんに伴う全身エネルギーの代謝障害、栄養消費量の増大が原因と考えられる栄養摂取量の低下です。がん悪液質とも呼ばれ、発生原因についてはまだ不明な点が多いです。がんによって身体のなかでの炎症反応代謝に栄養素が使われているため、摂取した栄養素を身体のエネルギーに変換できず、栄養摂取量が低下していると言われています。 前悪液質・悪液質・不可逆的悪液質の3段階にわかれており、進行すると栄養状態が不可逆的なものとなるため、軽度なうちから適切なサポートを受ける事が大切です。専門的な栄養療法でも改善が困難な事もあり、通常の栄養管理では体重の改善・維持は難しいと言われています。

体重減少は早めに予防しましょう

治療開始に伴う「食事の悩み(がん関連性低栄養)」の影響により、QOL低下・体力低下・体重減少が想定されますので、早期発見・抑制し、痩せる前からの予防が大切になります。 患者さんとしては食べれない事への辛さや、家族・支えてくれる方への遠慮があったり。ご家族としても不安を抱えていたり、食事を支えたいという気持ちがあったり。働いている方や家庭を守る方、介護をされている方など、日常生活を送りながらの闘病生活となり、体力・気力・時間的にも大変な方も多いと思います。一人で悩みを抱え込まず、栄養管理についても病院の栄養士さんやスタッフさんに相談してみましょう。

<参考情報>
国立がん研究センターがん情報サービス
http://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html

日本緩和医療学会
https://www.jspm.ne.jp/guidelines/glhyd/2013/pdf/02_09.pdf

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